うるしとわたしたちのくらし 〜受け継がれてきた九千年の歴史と文化〜

漆塗りのお椀とお箸

浄法寺塗の起源(きげん)は、二戸市浄法寺町にある八葉山天台寺にあると言われています。
天台寺の歴史は、平泉の中尊寺よりも古く、1200年も前のこと。 奈良時代の神亀五年(728年)、聖武天皇の命を受けた行基菩薩が建てたと言われています。

photo 天台寺の僧侶たちが、身近にあった漆を生かして普段使うために作った漆塗りのおわんは 「御山(おんやま)御器(ごき)」と呼ばれ、天台寺の境内や参道で売られ、信仰とともに、 周辺の住民へと広がっていきました。


「御山御器」 は、飯椀・汁碗・皿の三つのおわんのことで、片手で一度に三つのおわんを持ち、 反対の手ではしを持って、足下が悪い山の中でも、立ったまま、あるいは、 歩きながらでも食事をすることができました。
さらに、これらは入れ子 (ちょうど重ねてしまえるようになっていること)にもなり、とても便利にできていました。

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昔から毎日の生活の中の、「ふだん使いの器」として作られてきた浄法寺塗の漆器は、 今でも黒と朱のシンプルな色で、使う人の手にしっくりとなじみます。 もちろん地元産の浄法寺漆をふんだんに使っているのも大きな特徴です。

有名な秀衡塗や青森県の津軽塗は、浄法寺塗から派生したもので、浄法寺塗が元祖です。


道具を人間にとって最も使いやすい形に作り、また、 永く使うことができるように丈夫(じょうぶ)にしました。 浄法寺の漆器は、昔の人たちの知恵が形になって、今の時代まで受け継がれているものなのです。