鉄瓶作って11年。今思うこと
八重樫 亮
はじめに、前回コラムの岩崎圭子さんの質問への私の答え。
南部鉄器の一番の売りは「使い手の人柄が如実にあらわれる生活道具。使い込
めば使い込むほど自分だけの名品になります。」
× × ×
学生時代のバイト先のマスターの紹介で今の会社に見学へいってからはや
11年。ようやく人様にお渡しできるような鉄瓶を作れるようになりました。
同時期に鉄瓶に惚れた仲間達と自分の思いを語り合っている内に、鉄瓶を購
入してもらうことを前提にするのではなく、鉄瓶にかかわらず鉄器全般をまず
知ってもらいたい、生活の中で当たり前のように使われるような物でありたい
という思いから今月の3日に『みんなで話そう南部鉄器のこと』と題して南幅
さんにもお手伝い願って座談会と懇談会を開くことができました。
初めてのこともあり上手く参加して頂いた方々に伝えることができなかった
ことも多々ありましたが、継続ていく必要があるのではと個人的には感じてお
ります(草の根運動みたいに)。
やはり、地元で使われてなんぼのもの。地元で使われなくてよそでばかり使
われるのであれば地場産業ではないでしょう。盛岡に来ればどこの家でもごく
当たり前のように鉄瓶、鉄器が使われいる。そんな環境にしたいと思っていま
す。
これって私達作り手側の責任もあると思います。生活の変化に伴って需要の
低下してきた鉄器を土産物品として捉え、地元での鉄器利用の普及を心ならず
もおろそかにしてしまったこと。当然、地元の方もそのように捉え使うものと
は考えないようになってしまったのではないでしょうか?
もう一つは、物流体型の変化もあげられると思います。生産者と消費者の間
に多くの業者が入り、作り手と使い手の距離が離れ過ぎてしまいました。この
状況が悪いとは考えませんが(多くの方に商品を提供できるのですから)、地
元での消費を考えた時すぐそこに作り手が、鉄器のプロがいるのに。そんな状
況を作り手側から変えていき工芸品でも地産地消が出来たらと思います。
懇談会でこんな話を聞きました。「鉄瓶を展示する際、何故注ぎ口が右側な
のか?」勿論、その答えを御存知の方でした。その方がおっしゃりたいのは、
実際に使うものなのに使い手を意識した展示がなされてないのでは?というこ
とでした。私にとっては目から鱗。口では使い手側にたっての物作りを考えて
ますなんて言いながら使い難いような展示の仕方をしている。触って確かめる
ことができる鉄瓶ならば使われる場面を想定して左側に注ぎ口がくるよう展示
するべきですよね。勉強になりました。
鉄瓶は手作りの物だと結構値がはります。いいものだと思っても欲しいな〜
と思っても購入するには勇気がいると思います。一度購入すれば10年20年
平気で使えるのもわかっているけど、使い方が結構面倒だったりするらしいか
らといって購入を見送られることしばしば。
そこで私は考えました。車を購入する時試乗しますよね。それと一緒で鉄瓶
を購入する前に、鉄瓶を実際に使ってみて納得してから購入してもらう方法。
使い込まれた鉄瓶を実際に使ってみて、お茶の味を確かめてみたり使い終わっ
てからの取扱いを実践してみたり。それをやってみて納得したら初めて購入。
業界全体でやるのは難しいかも知れませんが個人でだったら可能かなと考え
てます。そこでこの場を借りて、鉄瓶を実際に試したい方は私に連絡を!個人
的にお貸しします。
題して
『南部鉄瓶利用促進運動第1段!私の鉄瓶お貸しします(しかも無料で!)』
っていうのはどうでしょうか?
作り手側からの情報発信がこれからもっと必要になってくると11年経った
今私が思うことです。
どんな人間がこの文章書いているか興味をお持ちになった方。来週の火曜日
テレビ岩手の夕方のニュースプラスワンに私が出るそうですの見てやってくだ
さい。
□八重樫 亮
□―Zutatto― (ずたっと)
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