INS地場産業研究会 皆さんから頂いたメッセージ
平成17年2月

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組織の自己治癒力
宇部 眞一

 少々の風邪の時には薬は飲まないことにしている。大概の場合、寝てれば治る
からである。

 整体の野口?リ哉氏も著書『風邪の効用』の中で「風邪を引くと大抵、体が治る。
健康な体には弾力があるものだが、いつも使いすぎている場処=偏り疲労部分は
触ると硬く、筋肉の伸び縮みの幅が狭い。風邪を引くと、汗が出て、鈍い体が弾
力を恢復し、体が軽くなる。風邪は体の掃除(浄化)、安全弁。風邪は自然の整
体法であり、体の偏り運動の修正、潜在的偏り疲労の調整を行っているので完全
に経過することが大切。」と述べている。

 話がいきなり飛躍するが、ニューサイエンスでは英国のラブロック博士も地球
は生命体であり全体的な自己治癒力を持っているらしいと述べている。つまりこ
の世にあるものは大なり小なり自分を回復させる力を生まれながらに備えている
ことになる。

 では、バーチャルな生命体である社会的な組織に自己治癒力はあるのか・・・。

 そもそもこんなことを考えるきっかけは何かというと、成果主義への疑問であ
る。
 私はかって中小企業診断士として企業の診断に携わり、管理(マネジメント)
手法を説いて歩いたが、実は間違っていたのではないかという反省がある。管理
では人は動かないのである。特に再建診断では戦略の再構築とともに、トップの
意識改革、そして現場で働いている人間にどう状況をわかってもらい、ろくな給
料も払えないままに働いてもらえるかが最大の課題であるが、マネジメントでは
それは出来ないのである。本質的に経営危機はトップの戦略の誤りであり、働か
なかった従業員の責任ではない。

 報酬をインセンティブとする成果主義はマネジャーの責任逃れには楽であるが、
全社が一丸となって事にあたらなければならない状況では連帯感の欠如しか生ま
ないのではないだろうか。

 では、危機に陥った企業や組織にとっての自己治癒力は何か。

 どこかの国の瀕死状態の航空会社の社員が自分たちの給料を出し合って飛行機
を買い経営者にプレゼントしたが、それをきっかけに企業の業績が回復したとい
う実話がある。

 会社を見捨てる従業員との行動の違いはどこから生まれたのか。

 多分、組織の自己治癒力のもとはそこに働く一人一人の思いの集合体なのでは
ないか。高いモチベーションとか生き甲斐、仕事の楽しさを感じられる組織かど
うかなのではないかと思う。トップがそれを引き出せたとき、従業員との信頼関
係が生まれたとき、それは可能になるのだろう。起業家にはこのような稀有な資
質が要求されるのであり、それを人間的な魅力となしうる人なのであろう。

□宇部眞一
岩手県商工労働観光部科学技術課長

□岩手県商工労働観光部科学技術課
http://www.pref.iwate.jp/~hp0212/kagakuGIJUTU/


合成の誤謬(ごびゅう)
稲葉 輝彦

 少し前であるが、出勤前にズームイン!!SUPERを見ていると、辛坊キャスター
が面白い解説をしていた。「合成の誤謬」である。100円のネクタイを買った
という話題をもとに。

 合成の誤謬は、経済学でよく使われる言葉らしい。要するに、部分の真理や理
屈は全体の真理や理屈とは限らないということである。例えば100円ショップ
で買い物をするのは、一円でも安いものを購入する個人の立場としては当然のこ
とであるが、皆が一斉に同じ行動をとると・・・デフレスパイラルへ。

 飲み込みが悪いので、少し調べてみると、分かりやすい例え話がネットに掲載
されていた。混雑したコンサートなどで、よく見ようと立ち上がる。これは個人
としては理屈に合った行動。しかし、全員が同じ行動をとると・・・結局、最初
と同様に見えなくなる、それ以上に立ち上がって見るだけ疲れることになる。こ
のように、部分の真理は全体の真理ではない場合があるということだ。


 この合成の誤謬、少し拡大解釈して考えてみると、身の回りは合成の誤謬だら
けであることに気がつく。かつての私のPTA活動の中でも、今の日常生活の中でも、
そして職場の中でも・・。つまり、全体を構成する各要素(部分)には、それぞ
れ合理的な理屈が存在しそれに納得しているが、全体を通して見ると、各理屈が
通らなくなってしまう現実だ。

 ここで、大きな声では言えないが、以前職場で取り組んだISO14001(環境マネ
ジメント)もそうだった。ISOでは、地球環境への負荷を減らすため、ガソリン消
費量を毎月△%削減とあり、その結果公用車の使用の自粛を求めるに至った。こ
れに公用車の運転手は色を成した。同時に、公用車の走行距離が短いこと自体出
先機関としていろいろ問題もあるらしい。早速、矛盾が発生した。

 また、こういう取り組みにカンカンになって打ち込む人がいる。困ったもので
ある。お陰で、冗談ではなく、一時期、寒さのため軍手をはめてPCに向かってい
た。
慣れると、キーボードやマウス操作も少し上手くなるが、とにかく能率が悪い。
OA化で、業務能率向上という県の基本方針と、ここでも矛盾が発生。


 こうした矛盾、どうしたら解消できるのか考えるが、答えは見つからない。
まともに誰かに聞けば、「それはそれ、これはこれ」と言われそうだ。

 答えを見つけた合成の誤謬に至らない事例がある。
それは、お金のない中小企業の異分野連携による売れる商品づくりだ。

 売れる商品作りは、「ニーズ収集」、「市場洞察」、「研究開発」、「特許」、
「量産」、「販売促進」・・などさまざまな部分の集合からなる。それぞれの部
分には専門家がいて、例えば、特許では、特許の無い新商品は欠陥商品だという。
先行調査抜きに特許出願しても、○十万円かかるだろう。販売促進では、金型や
量産化に投資したと同じような額を、売り(宣伝・広告、展示会、記念品・・)
のために投資しないと売れませんよという。中小企業に、そんなお金があるか!
まさに矛盾。

 1社単独で取り組むと、この矛盾は避けられない。
しかし、それぞれのツボを押さえた各部分の専門家とWIN WINの連携があると・・

 例えば、ニーズ収集も、自社で行うと費用と時間がかかるが、売りの現場とWIN
WIN であれば、売れ筋、消費者ニーズ、値頃感など商品開発に直結した情報が入
ってくる。特許においても、最低必要なものは出願しなくてはいけないが、そう
でないものは図面などを内容証明郵便で自分宛に送るとよいそうだ。費用はビー
ルをつけたランチ代程度。これで後の出願者に訴えられても、対応できるらしい。

展示会への効果的な出展方法やアンケートの出し方も、WIN WINの連携があると
専門家からノウハウが流れてくる。宣伝広告のプロも、無料でかなり詳細な企画
提案書を作成してくれる。

 
 何事もWIN WINの連携が、誤謬に至らない最善の策かもしれない。
 産・学・官・民の関係においても。
    
                       (転載などご遠慮下さいね)


□稲葉輝彦
兵庫県立工業技術センター 工学博士/
ひょうご福祉新産業研究会 世話人/KNS産業クラスター研究会 主査

□ひょうご福祉新産業研究会
http://www.tokokizai.co.jp/hyogo-fsk/

□関西ネットワークシステム(KNS)
http://www.kns.gr.jp/



インキュベーションに思うこと
橋本 昌隆

岩手県の皆様

先日『新時代の地域づくりフォーラム』にて、僭越ながらお話させていただいた橋
本です。先日は大変お世話になりましてありがとうございました。皆様の熱い思い
に、改めて勇気をもらい毎日忙しくしております。南幅さんより、コラムの依頼を
受け執筆させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。


インキュベーションに思うこと
 各地で産学連携や、インキュベーションの動きは活発ですが、民間でフリーでや
っているのは私以外は知りません。他は職員であったり、ベンチャーキャピタルの
社員というケース、定年退職してインキュベーション活動・・・といった方が多い
と思います。
 ベンチャー最前線であるはずのインキュベーション業界に、飛び込んでくる人が
少ないのはなぜかというと、あまりにも不安定な報酬体系に原因があると思います。
 アメリカなどは、自分自身でインキュベートして、経営者としてベンチャーに参
画し、エンジェル、キャピタルが投資するというスキーム、文化的土壌が確立して
いますが、日本ではまだまだ風土の違いもあって、うまく機能していないようです。
 また、失敗を容認する文化的風土も大きく、失敗した人のほうがスカウトが多い
という現象も日常と聞いています。
そんな中で出会った岩手県の皆さんは、大変前向きですばらしく、新しい時代の変
革者となりうるのではないかとの思いを胸に、大阪に舞い戻ってまいりました。
今後とも末永くお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。


□橋本昌隆

□NPO法人 ウェアラブルコンピュータ研究開発機構(チームつかもと)
http://www.teamtsukamoto.com/cgi-bin/wiki/wiki.cgi
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