異分野コミュニティを大切にしよう!
堂野 智史
産学官(民)交流・連携が叫ばれて久しいが、これらの異分野メンバーが同じ
目線で出会う機会は、意外と少ないように思う。産学官(民)メンバーが集まる
と、所属や肩書きが優先され、人格的な側面は軽視されるケースが多い。また、
学会とか、組合とか、サークルとか、同じような立場の人々が集まる会合は多数
あるが、例えば、異業種交流グループといいながら、メンバー構成を見るとほと
んどが製造業であったり、経営者だけの会合であることも少なくない。
同じような立場の人たちが集まっても、そこで交わされる会話の内容には、ど
こか新鮮味に欠けたり、何ら疑問を感じることなく阿吽の呼吸で理解してしまっ
ている事柄が多いように思う。
しかし、立場が異なる異分野の人同士が出会うことにより、これまで当たり前
だと思っていたことが、当たり前ではなくなる瞬間に出会ったり、疑問に感じて
いなかったことが否定される場合も少なくない。同じものを指し示す言葉が、異
分野間では異なるといったことも度々起こり得る。
こうした場面に出会う頻度が増すに連れ、そこに成長・発展の可能性を見い出
すことができる。これまでに出会ったことがない知見や価値観と出会うことで、
自らが相対化され、視野が広がるのである。
異分野コミュニティの形成は、兎角視野が狭くなりがちな人々の視野を広げ、
新たな成長・発展の可能性を生み出す契機となり得る点に大きな意義がある。
× × ×
インターネットやその他の情報伝達手段の発達によって、情報を入手したり発
信したりすることは容易になった。一方で、本当に価値のある重要な情報は、イ
ンターネット上に流通することは少なく、多くの場合既知の情報として存在する。
TVや書籍からの情報も同様である。実際に共同研究や商取引に結びつく重要
情報は、多くの場合「人の中」に存在する。見知らぬ人や信頼関係が築かれてい
ない人に、重要情報を流すかといえば、大抵の場合「否」であろう。
情報の流通が増し、容易に受発信ができるようになればなるほど、価値ある重
要情報は、人間同士の信頼関係のあるコミュニティ内でしか流通しなくなるので
ある。信頼関係をベースにしたコミュニティは、実際に産学共同研究や商取引に
結びつく重要情報が流れる「場」としても有効であり、そこに異分野コミュニテ
ィ形成のもう一つの意義を見い出すことができる。
× × ×
私は、異分野コミュニティの重要性を岩手から学んだ。まさに、INSがそのコミ
ュニティそのものであると思う。
アメリカの歴史的な産業集積地域であるルート128とシリコンバレーの成長過程
を比較分析した大著「現代の二都物語」の中で、著者のA.サクセニアン女史は、
両地域の成長の差を決定づけた要因の一つに、地域に根付いた異分野からなる産
業コミュニティの存在があったことを指摘している。
地域を元気にしていく上で異分野コミュニティが果たす役割は大きい。
みんなでこうしたコミュニティを大切にしようではないか。
□堂野智史
扇町インキュベーションプラザMebic扇町 所長
関西ネットワークシステム世話人
□Mebic扇町
http://www.mebic.com/
□関西ネットワークシステム
http://www.kns.gr.jp/ |