INS地場産業研究会 皆さんから頂いたメッセージ
平成17年3月

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より豊かで個性的な社会形成を目指して
平山 健一

 我が国では、戦後、貧しさ、ひもじさ、災害に悩む社会からの脱皮するため、
国民は社会基盤整備に汗を流してきた。あるレベルでの安全、経済的な豊かさが
達成された現在、我々は、利便性に富み、効率化された社会に対して、少し物足
りなさを感じている。

 どうしたら、自然環境と人間活動のバランスをとり持続可能な開発を続けなが
ら、より豊かで個性的な社会を形成していけるだろうか。

 行政と住民の連携と共働は、製造業に於ける産学官連携だけではなく、岩手山
の火山防災にも、二戸の産廃処理にも、北上川の水辺を議論するときも必要であ
る。

         ×        ×        ×

 社会基盤を整備する役割を担う国土交通省の顧問、青山俊樹さんを紹介したい。

 青山さんは、特に、東北地方に想いを寄せて頂いている我々の仲間であるが、
明治の初頭、東北を旅した英国の女性旅行家イザベラバードについてよく話され
る。

 バードが、山形県置賜地方の農村を訪ねたとき、勤勉で労働を厭わない人々が、
礼儀正しく、子供を大切にしながら、慎ましく生きている社会を「東洋のアルカ
デア」と呼んだそうである。(平凡社ライブラリー「日本奥地紀行」参照)

 青山さんがイメージする「美しい日本」の姿が、こんな風景を目指しているこ
とが伝わって来て嬉しかった。

 また、当時は三陸の陸の孤島であった田野畑村の診療所の様子を描いた、吉村
昭の「梅の蕾」を引用してご自分の思いを伝えてくれる。

 診療所に赴任してきた実在の医師将棋面先生と村民との心の交流を描いた小説
である。(1995年 文春別冊213号参照) 私も心の豊かさを大切にする生き方に
共感を覚える。

 青山さんは、国土交通省の高官を経験し、優れた河川技術者であるが、人間的
な優しさと清潔感を持った人物である。岩手県の行政にも民間にも、青山さんの
様な人が多くなれば、岩手らしい個性を発揮しながら、この資源に満ちた地域は
活性化していくに違いない。

□平山 健一
岩手大学長

□岩手大学
http://www.iwate-u.ac.jp/index-j.html



かならず、飲んで、さわいだ3年間
小笠原 徳

 3月12日(土)、第8回関西ネットワークシステム(KNS、かならず・のん
で・さわぐ会)の例会が終わりました。既にご存知の方も多いとは思いますが、
岩手ネットワークシステム(INS)から暖簾を分けていただき、平成15年に
発足した産学官民交流グループです。私は、幸運にも発足から世話人に加えてい
ただき、運営に参画してきました。

 大阪に着任して間もなく3年になりますが、来月はとうとう岩手に戻らなけれ
ばならなくなり、この例会が世話人最後の役目となります。

 縁もゆかりも無く、果てしない関西で、どこから手をつければいいのか、何を
どうすればいいのか途方に暮れていた着任当時を考えれば、先日の例会で関西の
方々に囲まれ、関西を去る寂しさに目を潤ませていた自分が不思議でなりません。

「県外にいる職員にしかできないこと」にこだわり、関西の人々と、関西の酒で、
関西の話題で盛り上がることを心がけてきました。その甲斐あってか、多くの方
々と信頼関係を築くことができ、「地域に根ざした」・「地域に密着した」こと
を実感しています。少しは「なんちゃって関西弁」を話せるようにもなりました
し。

 東北から関西に出てくると、「関西弁」に圧倒されてしまいますが、人情がと
ても厚く、以外と東北人には馴染みやすいところです。東北人と違うところは
「黙っていないこと」。あちこちでコミュニケーションがあり、よそ者でもすぐ
溶け込んでいけます。この点は東北人も見習うと、さらにパワーアップするので
はないでしょうか!?

 最後になりましたが、岩手大学の先生方をはじめ、INSの皆様には本当にお
世話になりました。熱い応援があったからこそ、KNSもここまで盛り上ること
ができたと思います。心から御礼申し上げます。

 4月からは、農林水産部流通課に異動になりますが、引続きINSとKNSの
橋渡しをしていきたいと思いますので、何かありましたならお声をかけていただ
ければ幸いです。


□小笠原 徳
岩手県大阪事務所 主査

□《参考》KNS
http://www.kns.gr.jp/



コーディネーターの変化 
佐藤 利雄

 私がコーディネーターの仕事をさせていただいて約10年たちます。
 この10年で私自身が変わった事、世の中が変わった事、変わった理由などを
少しまとめてみました。

 私は、この仕事に入るまでは、企業2つ経験しています。1つは、大手電機メ
ーカの研究所で研究開発、そして、40人規模から100人規模まで大きくなっ
た企業では、開発から営業と。この営業で産学官共同研究などを経験させていた
だきました。平成8年4月に花巻市起業化支援センターにお世話になりました。
平成10年までの3年間は、何もわからず(今もわからない事が多いが)支援ら
しきことはさっぱ りでした。また、事業を辞めたりする企業もあり、何かすべ
きと感じ「営業支援」を掲げました。

 研究開発だけでは企業は継続できませんので、早く技術なり製品を購入してく
れる方を探すことに気めました。ところが、「1社のための営業支援は行政がや
る事ではない。行政はあまねく公平に支援」という言葉があちらこちらから出始
め、私も悩んでしまいました。しかし、企業継続のためにはやはり営業しなけれ
ばと続けてきまして、今では行政機関でも営業・販売支援を高々に掲げて活動し
ています。ここ5・6年で大きく変わりました。

 もうひとつ変わった事は、マスコミ対応です。営業支援がマスコミに取り上げ
はじめられると、取材や講演の依頼などのお話が出始めました。その結果留守に
する機会が増え、「佐藤はいつもいない」とのクレームが出始めます。このよう
な事態を救っていただいたのは、一橋大学関満博先生をはじめとしたマスコミで
の紹介です。いまでは、関先生のお話を聞いていただいた方々の問い合わせや、
来訪などが多くなっております。そのおかげではないのですが、花巻では広告費
の削減にもつながっていると聞いています。

 このコーディネーターの仕事が始まったのは、ここ20年もたっておりません
ので、全く新しい仕事と思います。何でもそうですが、変化をしなくては成長も
ありません。

 変化を歓迎していく人間になっていきたいですね。

 変化を楽しむ人間ほど会話ははずみますね。飲み会でも愚痴をいうより変化を
求めた会話がいいですね。

        ×        ×        ×

■起業・企業支援の3か条
 (1)常に明るく、元気に、笑顔で、そして早い対応。
 (2)まず出来ることから取り組む。相手(企業、大学、行政)が動かなければ自分
   から動く。
 (3)否定語は使用しない。1度断るとそこで支援活動は終わり。

□佐藤利雄
花巻市起業化支援センター 統括コーディネーター 
岩手大学地域連携推進センター客員教授 インキュベートマネージャー

□花巻市起業化支援センター
http://www.incubate.city.hanamaki.iwate.jp/



異分野コミュニティを大切にしよう!
堂野 智史

 産学官(民)交流・連携が叫ばれて久しいが、これらの異分野メンバーが同じ
目線で出会う機会は、意外と少ないように思う。産学官(民)メンバーが集まる
と、所属や肩書きが優先され、人格的な側面は軽視されるケースが多い。また、
学会とか、組合とか、サークルとか、同じような立場の人々が集まる会合は多数
あるが、例えば、異業種交流グループといいながら、メンバー構成を見るとほと
んどが製造業であったり、経営者だけの会合であることも少なくない。

 同じような立場の人たちが集まっても、そこで交わされる会話の内容には、ど
こか新鮮味に欠けたり、何ら疑問を感じることなく阿吽の呼吸で理解してしまっ
ている事柄が多いように思う。

 しかし、立場が異なる異分野の人同士が出会うことにより、これまで当たり前
だと思っていたことが、当たり前ではなくなる瞬間に出会ったり、疑問に感じて
いなかったことが否定される場合も少なくない。同じものを指し示す言葉が、異
分野間では異なるといったことも度々起こり得る。

 こうした場面に出会う頻度が増すに連れ、そこに成長・発展の可能性を見い出
すことができる。これまでに出会ったことがない知見や価値観と出会うことで、
自らが相対化され、視野が広がるのである。

 異分野コミュニティの形成は、兎角視野が狭くなりがちな人々の視野を広げ、
新たな成長・発展の可能性を生み出す契機となり得る点に大きな意義がある。

         ×       ×       ×

 インターネットやその他の情報伝達手段の発達によって、情報を入手したり発
信したりすることは容易になった。一方で、本当に価値のある重要な情報は、イ
ンターネット上に流通することは少なく、多くの場合既知の情報として存在する。

 TVや書籍からの情報も同様である。実際に共同研究や商取引に結びつく重要
情報は、多くの場合「人の中」に存在する。見知らぬ人や信頼関係が築かれてい
ない人に、重要情報を流すかといえば、大抵の場合「否」であろう。

 情報の流通が増し、容易に受発信ができるようになればなるほど、価値ある重
要情報は、人間同士の信頼関係のあるコミュニティ内でしか流通しなくなるので
ある。信頼関係をベースにしたコミュニティは、実際に産学共同研究や商取引に
結びつく重要情報が流れる「場」としても有効であり、そこに異分野コミュニテ
ィ形成のもう一つの意義を見い出すことができる。

         ×       ×       ×

 私は、異分野コミュニティの重要性を岩手から学んだ。まさに、INSがそのコミ
ュニティそのものであると思う。

 アメリカの歴史的な産業集積地域であるルート128とシリコンバレーの成長過程
を比較分析した大著「現代の二都物語」の中で、著者のA.サクセニアン女史は、
両地域の成長の差を決定づけた要因の一つに、地域に根付いた異分野からなる産
業コミュニティの存在があったことを指摘している。

 地域を元気にしていく上で異分野コミュニティが果たす役割は大きい。

 みんなでこうしたコミュニティを大切にしようではないか。


□堂野智史
扇町インキュベーションプラザMebic扇町 所長
関西ネットワークシステム世話人

□Mebic扇町
http://www.mebic.com/
□関西ネットワークシステム
http://www.kns.gr.jp/
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