INS地場産業研究会 皆さんから頂いたメッセージ
平成17年7月

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応援が集まる経営者
齊藤 博之

 私は岩手県工業技術センターの研究員です。

 研究員は企業の技術者とのつきあいが多く、経営者と話す機会は多くありませ
ん。が、1年間県庁で企業への補助金担当をした時や、いわて産業振興センター
で2年間、ベンチャーや創業支援、投資などに関わった際に経営者とお話しする
機会がありました。その時に、私がその発言にびっくりしたり、感銘した経営者
のお話しをいくつか紹介します。


1.税金で受けた支援は税金で返す

 企業の経費がいらない可能性調査事業の募集をかけた時、「補助を受けたお金
は税金で返す。よく考えたが、今の事業進度では調査事業を受けても無駄になる
から応募しません」と断られた。この方は製造業で、2年サイクルで次の新製品
を出すように進めており、それに合わないのであった。きちんと自分で調査し、
ユーザーの求めるところを深く勉強して製品に反映していた。また、協力を依頼
する場合は相手のメリットもよく考えるので、応援したくなる経営者であった。


2.倒産しても応援された経営者

 この方は実名でご紹介できます。借金27億円を抱えて倒産した籏礼泰永氏です。
同じ町で同じ業種で再起。借金の倍返しを目指している。人が何と言おうと応援
したくなる。HPでも紹介されていますのでご覧下さい。
http://www.mentor-bank.com/mc_irai.htm


3.応援を決めさせられた言葉

 岩手県から海外へ移ろうとしている経営者がいた。私は県職員。税金が減るお
手伝いはできない! しかし、私は次の言葉で応援を決めた。「向こうに墓地も
買って骨を埋める」。不退転の決意には支援せざるを得なかった。

 この様に「応援が集まる創業者」とはどの様な経営者か下記のように考えてみ
た。あとで気が付くと公務員の研究者も全く同じであった!

1 社会に価値と感動を提供する夢のある人
2 諦めずに知恵を出し続ける人
3 聞く耳を持つ人
4 自分で学習し、業界の常識を越えていく人
5 全ての責任を自分で負う覚悟のある人
6 人のために働く喜びのある人


□齊藤博之
岩手県工業技術センター プロジェクト研究推進監 
農学博士

□岩手県工業技術センター
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/



糸へんいろいろ
平佐 興彦

 皆さんはネクタイを”締(絞)める”派ですか、”結ぶ派”ですか。

 今年は巷では環境庁指導でクールビズとの着方が行われていますが、日本人は
服の着方まで指導されるほど駄目になったのでしょうか。皆がネクタイをはずし
てみると個性のなさのみが露呈され、亜熱帯から亜寒帯まで広がる日本を考える
と画一的な提案は滑稽ささえ感じられます。

 ネクタイの起源を尋ねてみますと兵士が防寒のために首に布を巻いたのが始ま
りといわれています。服では人体が動くことにより、開口部、特に首の部分から
鞴(ふいご)効果により衣服内の換気が行われ、体温調節がなされています。ネ
クタイを締める(結ぶ)ことにより衣服内の換気をコントロールできます。

 そもそも衣服はその地域の環境にあわせて発展してきました。今日のように建
物の空調が完備していない時代、どのオフィスでも夏は糊の利いた半袖の開襟シ
ャツで仕事をしており、誰も礼を逸するとは思いませんでした。

 日本には絽(ろ)や紗(しゃ)という通気性の良い夏用の布があり、これを夏
向きのデザインに仕立てて着装する文化がありました。

 布は糸を織ったり、絡ませることにより形成されていますが、糸同士が接着さ
れていないため、ずれることができ、大きな自由度を持っており、織物ではいろ
いろな経糸と緯糸を組み合せることにより種々の機能を発現させることができま
す。

 日本は現在も繊維に関しては天然繊維を凌駕する素材から製品まで世界一の技
術を有しており、パリコレも日本の繊維技術に依存するところが多いといわれて
います。

 化石エネルギーの限界が見えてきた今日、思いつきの掛け声ではなく真の経緯
を考える時期に来ているのではないでしょうか。

 岩手に来て九年が経過、これからも結いの生活を楽しもうと思います。


□平佐興彦
生活工房 サスティナ・かや

□生活工房 サスティナ・かや
〒020-0106盛岡市東松園2-10-18
Phone:019-664-0192



趣味と仕事   
後藤 卓郎

 高齢社会をいかに生きるかは、老年期の生活設計をどう描くかにかかっていま
すが、家族には定年退職したら趣味三昧の毎日だと冗談とも本気だともつかぬ話
で煙に巻いています。

 趣味は新しい感動や友人を得ること等生活に潤いを与えてくれるものですが、
そのためにはいくつかの条件があります。すなわち、健康や経済面等趣味を楽し
むことが出来る環境を自ら創り出すこと、趣味を通じて自分がこうなりたいとい
う願望を実現するための工夫を必要とすること等ですが、これらの取り組みは経
営にも一脈通じるものがあるといってはこじつけでしょうか。

趣味はゴルフと将棋に、麻雀となぜかいわゆる勝負事(ゴルフもコースとの戦
いです)ですが、センスの悪さが災いして一向に上達しません。

 それでもますます執着心が強くなるのは、構想力や状況判断は的確か、いたず
らな冒険心をいかにコントロールするかという下手は下手なりの拘りがあるから
であり、これがうまくかみ合ってシナリオどおりことが運んだとき(ほとんどあ
りませんが・・・)の嬉しさは格別です。

 5月は中小企業組合の総会に、6月には組合代表者等との懇談会に出席し、経
営環境の厳しさを反映した声を多く耳にしましたが、厳しい中にもそれなりに実
績を上げている企業や経営者がいます。

 そこには経営理念や具体の計画があるのは当然ですが、時代の流れを敏感に察
知しながら常に変化し続けていることや、何でも有りの精神で異質なものを受け
入れる柔軟性と行動力に溢れていること等の共通点がみられますし、いろんな視
点を持ちながら地域のモノや事にふれて商売を楽しむ余裕を持っている気がしま
す。

そんなわけで仕事に行き詰まったときは何のかんのと理屈を付けて意識して趣
味に走っていることが多く、その時々にあった楽しみ方を画策しながらしばし別
の空間に身を置いて仕事に戻ると、たまには仕事のヒントが出ることもあるので
す。


□後藤 卓郎
岩手県中小企業団体中央会 事務局次長

□岩手県中小企業団体中央会
http://www.ginga.or.jp/



入り口は、ドコ?トイレは、どっち?
福島 智絵

 新しいお店や、レジャー施設のオープンに合わせ、取材で回らせていただく機
会に恵まれることがある。ゲートから建物入り口までの凝った造りに「ほぉ〜
っ」と見入り、内部に至ってはそれぞれ“個性”を存分にいかしたステキなデザ
インが施されている。写真を撮るポイントに迷うほど見どころ充分、 といった
ところ。お店であれば商品やメニューが、施設であれば展示物が、何と引き立っ
て見えることよ!最新の建築、インテリア装飾って、本当にお洒落な ものが多
い。

 ひとしきり感心した後、ふと足が止まる。どこが目的の部屋の入り口なのか?
1階か、2階か、それとも階段でしか行けない中2階なのか?迷路のような建物
内部を(ある時はパンフレット片手に)ウロウロしながら探しまわる。さらに、
私を混乱させるのが、トイレの存在。モダンなマークデザインだが、これは、果
たして男性のマークか、女性のマークか…?悩みながら、よーく見ると、申し訳
程度に小さく「women」の表示。視力が弱くなったら見分ける自信 は、ない。来
るべき近い将来、異性用のトイレに平気で踏みこんでしまうのではないか。そ
んな疑念がチラリと頭をよぎり、おびえる。

 用を済ませて水を流そ うとすると、これまた「うーむ」。お馴染みのひねる
部分が見当たらない!これは、この脇に付いているボタンらしきを押せばいいの
か、それとも便器から離れるだけでOKなのかしら…。とにかく水を流さねばと、
しばし個室で実験を試みる。やっとのことで外に出て、手を洗う場所も同様。手
を差し出してみた り、上の部分をやっきになって押してみたり。

 なぜ、トイレでこんなに疲れなければならないのだ。冷や汗まで出てきた。私
だけなんだろうか?不安に思った その時、奥の個室から「水どうやって流すか、
わかります〜?」と年配の女性の声。良かった、私ひとりじゃないんだ。もちろ
ん、ていねいに教えて差し上げ た。

 不思議に思うのは、そういう施設のパンフレットやメニューに「当館(当店)
は、利用者(お客様)の方の視点に立ってうんぬん…」という文字が登場するこ
と。私の視点は、オカシイのか。改めて、館内(店内)を見回すと、理解不能な
カタカナ専門用語の嵐に襲われる。

 最近、切実に感じる。使いやすさとは、そしてわかりやすい伝達方法とは、何
だろう?相手の視点に立ったふりして、自分の視点だけで考えて勝手に満足して
ないか。お洒落さのベールに包んで、本当に必要なものを誤魔化していないかー。

 賃貸暮しの私だが、いずれマイホームが欲しい。その暁には、きっと素敵な家
を建てよう。人目を引く素敵な外観に、個性的なインテリアをシンプルに配置し
て…。まるで雑誌から抜け出たようなお部屋を作ろう。そして、トイレの 入り
口には、大きく「便所」とプレートを貼るつもり。だって、その頃、我が家も我
が家を訪ねる面々も高齢化が進んでいるはずだから。
 

□福島 智絵
ライター

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