糸へんいろいろ
平佐 興彦
皆さんはネクタイを”締(絞)める”派ですか、”結ぶ派”ですか。
今年は巷では環境庁指導でクールビズとの着方が行われていますが、日本人は
服の着方まで指導されるほど駄目になったのでしょうか。皆がネクタイをはずし
てみると個性のなさのみが露呈され、亜熱帯から亜寒帯まで広がる日本を考える
と画一的な提案は滑稽ささえ感じられます。
ネクタイの起源を尋ねてみますと兵士が防寒のために首に布を巻いたのが始ま
りといわれています。服では人体が動くことにより、開口部、特に首の部分から
鞴(ふいご)効果により衣服内の換気が行われ、体温調節がなされています。ネ
クタイを締める(結ぶ)ことにより衣服内の換気をコントロールできます。
そもそも衣服はその地域の環境にあわせて発展してきました。今日のように建
物の空調が完備していない時代、どのオフィスでも夏は糊の利いた半袖の開襟シ
ャツで仕事をしており、誰も礼を逸するとは思いませんでした。
日本には絽(ろ)や紗(しゃ)という通気性の良い夏用の布があり、これを夏
向きのデザインに仕立てて着装する文化がありました。
布は糸を織ったり、絡ませることにより形成されていますが、糸同士が接着さ
れていないため、ずれることができ、大きな自由度を持っており、織物ではいろ
いろな経糸と緯糸を組み合せることにより種々の機能を発現させることができま
す。
日本は現在も繊維に関しては天然繊維を凌駕する素材から製品まで世界一の技
術を有しており、パリコレも日本の繊維技術に依存するところが多いといわれて
います。
化石エネルギーの限界が見えてきた今日、思いつきの掛け声ではなく真の経緯
を考える時期に来ているのではないでしょうか。
岩手に来て九年が経過、これからも結いの生活を楽しもうと思います。
□平佐興彦
生活工房 サスティナ・かや
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