INS地場産業研究会 皆さんから頂いたメッセージ
平成17年9月

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職員採用試験官をしてみて
沼田 秀彦

 総務部に籍を置いている関係で、2年連続で職員採用試験の試験官をした。会

場内は、カリカリと鉛筆を走らせる音が静寂な時間を刻んでいく。試験に取り組

む若者には、真剣な表情と目標に向かう姿が見られる。また、試験会場となった

中学校の教室では、生徒の自筆による「毎日笑顔」、「真剣集中」、「がんばり

ます」などの張り紙が私にとっては新鮮に感じられた。


 自分も20数年前に試験を終えて廊下に出たとき、受験生の多さや、受験生同士

で話をしていることに不安を覚え、顔見知りもいないため、自信がどこかに消え

うせてしまったことを思い出した。当時は就職にあまり期待感もなく、どこかに

は就職できると漠然と考えていた。ところが、今や就職難の時代である。岩手の

今年7月の有効求人倍率は 0.56で、数字上ほぼ2人に一つの仕事があるという

ことになり、全ての若者が職を得ることは不可能な時代となった。むしろフリー

ターやニートと呼ばれる若者が多くなり、行政も若者の雇用対策に力を入れるよ

うになった。


 他の自治体もそうだと思うが、職員採用試験を受ける若者は非常に多い。でも

若者は何に希望を持ち、夢を持って受験しているのだろうかと思う。ひるがえっ

て自分の夢は、何だったろうかと自問するとき、私には口に出していえるほどの

夢があったわけでもない。車いすの天才物理学者のホーキング博士は『人生は、

できることに集中することであり、できないことを悔やむことではない。』と言

ったそうだが、まさに試験に取り組む若者には、できることに集中し、できない

ことに悔やむことのない人生を送って欲しい。また、仕事は自己実現又は生活の

糧を得るためとか理屈をつけることが出来るが、幸運にも仕事を得た場合には、

仕事を通じて喜びや生きがいを感じてもらいたいし、自分もそうでありたい。


□沼田 秀彦
盛岡市総務部総務課 総務係長

□盛岡市
http://www.city.morioka.iwate.jp/



レッセ・フェーレ   
梶原 昌五

 私は、岩手大学教育学部で生物学を教えています。自分の研究のテーマは、
「ホヤの目はどこにあるのか」を明らかにすることです。でもこれはちょっと
お休み中で、今は環境教育に地域の活動がどのように関われるのかという問題
に興味が移っています。

 さて、私は大学4年から大学院前期まで、岡山大学の臨海実験所にいました。
指導教官であった吉田正夫先生の口癖は、「何でも勉強だから、やってみなさ
い」でした。元来好奇心が強く、寝るのも惜しんで遊び回っていた私にとって
興味のあることは尽きず、卒論は2つ書きました。

 大学院前期でも2つのテーマで修士論文を書きました。そして、まだやりた
いことがあったので、東北大学の大学院後期課程に編入し、青森市浅虫にある
東北大学臨海実験所で研究を続けました。

 ここに来ると、研究棟の海側斜面に石碑があり、そこには実験所を創設した
畑井新喜司先生の口癖であった「それは君 大変おもしろい 君ひとつやって
みたまへ」という言葉が刻まれています。

 つまり、やりたいことがあればとことんやるべきである、ということを私は
教わってきたのです。そして今、学生たちにもそれを伝えています。しかし今
の時代は、物事をやる前に評価基準に照らし合わせ、予想される結果に内容を
合わせる時代になりました。学生の行動もそうなってきていますが、ここに、
個人と社会のいびつな関係が見え隠れします。

 なんともはや、おもしろくない世の中です。新しい事は常に事前評価できな
いところから生まれるもので、ひょうたんの中にある駒を逃さず見つけ、それ
をうまく磨いて意味のある発見や発明に結びつける営みが、次の時代を作ると
いうのに。私たちの社会はいったいどこに行くのでしょうか。

 そういう、将来の私たちの暮らしを考える試みが、あちこちで始まっていま
す。環境問題はどんどん進み、解決策はあるのに採用せず、私たち人類は、物
理法則に従って滅びて行くのでしょう。人間の知恵とはいったい何だったのか、
考えさせられる今日この頃です。もっと自由に自分の選択によって生きていけ
ないものでしょうか。


         ×        ×        ×


 表題は、政治社会思想で有名なアダム・スミスの言葉です。日本では自由主
義政策という意味で使われることもありますが、意味が変わってしまっている
ようです。その他、人間の生き方としても、「もっと自由に!」という意味が
あると、私は教わりました。資本主義以前の古い言葉なのですが、個人と社会、
市民と国家のあり方について、今でも通じるものがあるのではないでしょうか。


□梶原 昌五 
岩手大学教育学部 講師
特定非営利活動法人 環境パートナーシップいわて 副代表
環境情報ネットワーク研究会 代表


□岩手大学教育学部教育学部理科教育講座生物学教室 梶原研究室
http://fen.edu.iwate-u.ac.jp/~rika/biology/kaji/

□特定非営利活動法人 環境パートナーシップいわて
http://eco.soc.or.jp/

□環境情報ネットワーク研究会
http://www.iwate.isp.ntt-east.co.jp/kankyo-net/



日本のものを海外で売るには
齊藤 博之

 個人的な経験から、海外進出に向けた「マーケットイン」について少し。

1.清酒
アメリカに行ったときに言われたのは、ワインとの比較。アルコールに強い彼ら
には清酒はワイン並。南部美人の久慈さんはニューヨークで一升瓶が珍しくて好
評、という。また、杜氏をドイツのマイスターに例えて紹介すると外国人は関心
を示す。文化と歴史を酒に付けて、彼らの生活に合わせた飲み方の提案が必要と
感じている。 

2.岩谷堂タンス
シアトルの古道具屋をのぞいたら、黄色の日本製らしい安っぽいボロなタンスが
置かれていた。「あんなの買うのか?」と当時思ったが後日納得した。アメリカ
人にとっては南部鉄器の飾りと色が重過ぎると言われた。ヨーロッパなら良いか
もしれないとも。考えさせられた。

3.無農薬野菜
アメリカでは街中の小さなお店でも必ず無農薬野菜のコーナーがあり高かった。
「日本から輸出したらもうかりそう」と思ったが、甘かった。食品関係の同級生
に聞いたら「だめ、アメリカには今まで農作物を作ったことのない、つまり農薬
を使ったことのない土地があるからできた。日本で今できるか?」と言われた。
なるほど。 

4.麺類
アメリカに行って無性に麺類が食べたかった。空港にはパンもスパゲッティもあ
るのに日本の麺類がない。アメリカの日本食料理店でも、麺類は必ず肉どんぶり
や寿司とセットだった。「なぜ?」と聞いたら「汁物は主食ではない、副食だか
ら」との返事。彼らには汁物の麺類は味噌汁と同じ。また、彼らの食べる量は尋
常ではない、そばやうどんだけでは満足できないのだろうと納得した。しかし無
性に食べたかった!

5.甘味
私は甘党だが、あんなにでかいアメリカのケーキは食えない。アメリカ人に人気
の日本食料理店に行った時に食べた「牛丼」は見かけは牛丼だが、甘い醤油だれ
で味付けしてあった。日本居酒屋の焼き鳥もひどく甘いたれで、驚いた。しかし
それが売れていることを考えないといけない。

6.何が売れるか
「日本のものは珍しいから何でも売れると思う」と盛岡在住のカナダ人に聞いた。
実際にカナダに行ったときには、輸入業をしているという日本人から「タタミ、
線路の枕木、など、意外なものが売れる」と聞いた。彼らは日本の何に魅力を感
じて買うのか、いつか調べてみたい。

□齊藤博之 
岩手県工業技術センター プロジェクト研究推進監 
農学博士

□岩手県工業技術センター
http://www.pref.iwate.jp/~kiri/
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